卵の品質保証の目安である賞味期限。購入の際に目安にされている方も多いかと思います。
この卵の賞味期限ですが、あまり知られていないいくつかの特徴があります。
1.期限は生で食べることができる(サルモネラ菌の増殖が起こらない)安全期間を示している。
2.多くの事業者では洗浄・パッキングした日を基準にして期限を決めている。
3.保存期間を明確に規定した法律は無いため、事業者に任されている。
卵の賞味期限の設定はサルモネラ菌等による食中毒を予防することを目的とされています。
卵へのサルモネラ菌の付着は10万個につき3個程度と言われていて、非常に低い確率ではありますがゼロではありません。また、卵白の内側に付着している場合は卵殻の殺菌・洗浄では殺菌できません。
このサルモネラ菌の増殖は卵の保存温度に密接に絡んでいて、外気温が高いほど増殖のスピードが上がります。(詳細はここのテーマではないので省略しますが、日本卵業協会様のWebサイト等で詳しく説明されています)
大手鶏卵事業者は、一般的に鶏卵の賞味期限を2週間としています。これは、店頭での常温保存期間を7日程度と想定し、購入後は家庭の冷蔵庫で保存して7日程度で消費することを考慮した期間となっています。
最近のコンビニでは最初から冷蔵の状態で販売されている鶏卵が増えてきています。この賞味期限は2週間より長めに設定されているものが多いのですが、最初から冷蔵保存なのでサルモネラ菌の増殖も抑えられるため妥当な期間設定だと言えます。
前置きが長くなりましたが、ここからが私の言いたいことです。
毎回見るたびに心をざわつかせてしまうのが、生産者直売所などで常温で販売されている中小規模生産者(もしくは個人)の鶏卵の賞味期限です。
常温保存なのに半端なく長い! 下手すりゃ夏場なのに出荷日から1ヶ月ほどの賞味期限が設定されていて、思わず「うわぁ、よくやるよなぁ…」と感心してしまうほどです。「うちは今まで一回も食中毒などおきとらん!」とあまり根拠のない自信を持っている(としか思えないような)生産者もちらほら見受けられます。
確かに賞味期限を長く設定した方が断然お客様受けは良いです。賞味期限が短い卵と長い卵が並んでいたら 購買心理としては期限が長い方の卵を手に取るでしょう。
ですが、我々食品を扱う事業者はお客様にきちんとした食の安全を提供する義務があります。鶏卵へのサルモネラ菌の付着のリスクを完全にゼロにできない以上、より安全側に倒した配慮が必要ではないかと考えるのです。
このような観点から、鶏卵を購入されるお客様には「卵の賞味期限が長い=鮮度が高い」わけではないことを知っていただきたいですね。
ポイントとなるのは採卵日はいつか、ということですが、これを記載していない事業者も多く お客様が採卵日を知る手段は限られています。小規模なところだと、だいたい出荷日の1~3日くらい前が採卵日と推測できます。もっと小規模な個人事業者などは 鶏卵の数が揃わないので 数日貯め置き後に出荷しているところもあるかもしれません。